データヘルス計画作成とその課題
2024年(令和6年度)から第3期データヘルス計画が始まります。2023年(令和5年)は準備の年ですが、皆さま、ご進捗はいかがでしょうか。取り扱うデータの種類が多く、作業の見通しがつきにくいこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は、データヘルス計画作成の課題と解決策をご紹介します。計画策定をワンストップで支援するサービスもご紹介しますので、ぜひご一読ください。
第3期データヘルス計画とは
国は健康保険組合における加入者の健康保持増進のための事業計画として「データヘルス計画」を作成・公表し、事業実施や評価等を行う取り組みを求めています。健康保険組合には実施が義務付けられており、市区町村も同様の取り組みを行うことが推進されています。
データヘルス計画が推進されている背景には、主に次のことが挙げられます。
●国民の健康寿命の延伸
高齢社会の到来により、平均寿命と健康寿命との乖離が広がっています。健康寿命とは医療や介護を必要とせず、日常生活に制限のない期間を指します。
2016年(平成28年)における日本の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳であるのに対し、健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳でした。男性で約8.84年、女性は12.35年の差があり、この期間は寝たきりや介護、医療を常時必要とするため、生活に制限が出てしまい、本人や家族の負担が大きい期間と言えます。
こうした状況を受け、高齢期の生活の質を上げ、国民医療費を削減するために、平均寿命と健康寿命の差を埋めることが求められています。これは2013年(平成25年)6月に閣議決定された「日本再興戦略」の中の重要施策である「国民の健康寿命の延伸」として推進されています。
●データヘルス計画とは
このような背景から、「日本再興戦略」においては、レセプト(診療報酬明細書)等のデータの分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画「データヘルス計画」の作成が健康保険組合と各自治体に求められています。
近年、カルテやレセプトの電子化が進んでいることから、医院や保険組合、各自治体には医療ビッグデータが蓄積されています。2004年(平成16年)に策定された「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」(平成16年厚生労働省告示第308号)で、保険者による健康情報の蓄積・活用が位置付けられ、健診を全国どの病院で受けても同じ項目、同じ品質、同じ結果を電子データとして保管できるようになりました。この結果、各保険組合では健康状態や健診結果を経年的に追うことができ、「どのような健康状態や生活習慣を持つ組合員が、将来どのような生活習慣病に罹患するリスクがあるか」の傾向を知ることが可能になりました。
さらに、現在リスクのある健康状態・生活習慣の組合員に対し、健診の受診勧告を行うことで、予防や早期発見につなげ、PDCAサイクルを回して、医療費削減などの成果につなげるのが「データヘルス計画」です。
第3期データヘルス計画が開始されることで、さらなるデータ分析や健康課題の可視化、実効性のあるPDCA策定が求められています。
データヘルス計画策定とその課題
データヘルス計画を推進するにあたり、KDB(国保データベース)やレセプト、健診データの分析を各自治体で行う必要があります。主に次のようなデータが対象となります。
・健診結果
・医療レセプト(診療年月や点数など)
・医療傷病名
・医療摘要
・医療最大医療資源ICD別点数(病名別の点数)
・介護レセプト
このような膨大なデータを人力で照合・分析することは難しいため、専門業者や分析ツールを活用して行うのが一般的です。しかし、その管理が煩雑になっていることに苦慮しているケースが多いのが現状です。
分析だけではありません。計画書の策定にあたっては、下記に示したような多岐にわたる業務があり、担当者の業務負荷は大きいものです。
・課題定義
・評価手法や目標の定義
・必要となるデータ項目の定義
・分析・集計
・得られた結果から具体的な施策への落とし込み・有効性の検証などの仮説作り
・計画書の文書の編集・校正・制作
こうしたデータヘルス計画全般への対応の作業負荷を軽減するために役立つのがトッパンの「データヘルス計画策定支援サービス」です。KDB突合CSVなどのデータを駆使しながら、データヘルス計画に関わる業務をワンストップでお手伝いします。
データ項目や仕様などのひな形をご提供できるほか、印刷会社としての長年のノウハウを活かし、受診勧告のための印刷物の改善ご提案や、その他勧奨BPOの実施も一括でご支援していますので、効率的で効果の高いデータヘルス計画を推進できます。
データヘルス計画策定をワンストップ支援「データヘルス計画策定支援サービス」
さらに詳しく、トッパンの「データヘルス計画策定支援サービス」の特徴をご紹介します。
2024年(令和6年度)から始まる第3期データヘルス計画および第4期特定健康診査等実施計画の策定に必要な 「計画素案策定」、「データ分析/集計」、「計画書・報告書作成」までをワンストップでお手伝いします。さまざまなヘルスケア関連のノウハウである、受診勧奨、コロナ関連、受動喫煙等を活かした制作物の課題改善にお役立ていただけます。
●PDCA支援
データヘルス計画においては、PDCAサイクルを回すことが重要です。同サービスでは、PDCAの各段階において、次のようなサポート行っています。
P:データヘルス計画策定のひな形をご提供します。
D:作った計画に従って(仮説に基づく)施策実施のサポートを行います。
C:「BIツール」のご利用で手軽に経過を分析できます。
A:経過分析に基づいた受診勧奨などの施策実施のお手伝いを行います。
●独自のデータ分析ツール「BIツール」のご提供
同サービスでご提供するBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)は、シンプルな操作性で直感的に操作・分析ができるツールで、国勢調査データも活用した、より幅広い分析が可能です。個人情報をマスクした状態で分析ツールを作成するため、自治体以外の弊社や既存ベンダー、大学等でも利用が可能です。また各自治体の所有データに合わせたAIエンジンを開発するなど、個別カスタマイズも可能です。
●特定検診等受診勧告ソリューション
特定検診等受診勧告をサポートし、受診率向上につなげる多彩なソリューションでご支援します。従来のDM送付に加え、アウトバウンドコールやLINE・SMSと連携したメッセージ送信、病院・調剤薬局との連携構築、健康ステーションを立ち上げて運用することなどにより、地域資源の構築、折込やDM投下計画の策定から印刷物制作まで、計画推進を一貫支援します。
第3期データヘルス計画の準備に向けて、ご検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。最適なソリューションとサービスをご提案させていただきます。
2022.12.27