コラム

桜川市の価値継承 体験絵本
『さくらがわ市の
たからもの』

大塚秀喜 桜川市長 
林部浩之 エクスペリエンスデザイン本部 ブランド戦略部
近藤亜希子 エクスペリエンスデザイン本部 ブランド戦略部

※撮影は新型コロナウイルス感染拡大予防対策に十分に配慮して行っております。

誇るべき資産、個性輝く野生種、山桜

林部:弊社は2016年から「DMO形成支援準備事業」を通じて、市民向けパンフレットを作成させていただいたり、4K映像(インタビューの場で投影)を撮影させていただいたり、ヤマザクラ保全活用計画の策定サポートもさせていただきました。改めて、桜川市にとっての山桜とはどのようなものか、取り組みなども交えて大塚市長からご説明いただけますか?

大塚市長:山桜は桜川市にとって誇るべき固有な資産だと考えています。古くは紀貫之の和歌にも詠まれ、天然記念物に認定されている山桜も桜川市内にあります。そんな山桜が、推定約55万本も里山に自生している。それが桜川市なのです。
今、市民の皆さんが山に入って、植樹や下刈りをやってくれているんです。きっと10年たったら面白くなる。10年かけて地元の人がこれだけの桜が見れる山を作ったことになるので、皆さんにもっと山に入ってもらえるような仕組みを作れたらなと思います。

林部:山桜って、見た時にちょっとした感動がありますよね。
今回の絵本を制作したスタッフを初めて桜川市に連れて行った時、山桜を見て感動してくれたことが、市民のように嬉しかったです。(笑)

近藤:ただ、市民にとっては日常の景色で、かつ若い人にはその「価値」がピンと来ない・・・

林部:意外と我々のような外様のほうが、「価値」を感じちゃいますよね。

大塚市長:住んでいる市民が改めて「価値」を感じて、外の人が山桜を見て喜んでいる姿を市民が見る・・・そんなカタチができるといいですね。

近藤:その価値を伝えるための絵本もでき、今後はどういうことを伝えていきたいですか?

大塚市長:今後は、桜の歴史、文化をもっと伝えていきたいです。あと「日本の花見が変わるぞ!」っていうことも。1週間で終わる話じゃなくて、1か月弱、早咲きから遅咲きまでゆっくり毎週変わっていく風情、そんな花見ができたら素敵ですよね。まさにタイトル通り「さくらがわ市のたからもの」ですね。

林部:今回、桜川市内の子供たちやその保護者の方々に絵本を通じて山桜の「価値」を伝える機会をいただけて、本当に嬉しかったです。


絵本『さくらがわ市のたからもの』

林部:先日大塚市長は、市内の小学生たちに直に絵本を渡してくださったと聞いています。子供たちの反応はいかがだったでしょうか。

大塚市長:市内の小学校の1年生に手渡して来ました。入学時期で、子供たちはとても喜んでくれましたし、校長先生や教職員の方の反応も上々でしたよ。生徒さんからはお礼のお手紙もいただきました。「本当に凄くいいものができた!」って感じです。次の絵本は、小学校高学年の皆さんや中学生、その保護者の方々に山桜のことや歴史をしっかり説明できる内容がいいなと思っています。現在、市内の小学校で行っている植樹活動を含め、山桜を通して、地元の皆さんが誇れる町づくりができるよう、そういうきっかけになる絵本になればと思っています。

近藤:山桜のある素敵な町を象徴する絵本、魅力的ですね。今回の絵本でも、表紙を見た方々から「ここに行ってみたい」「なんで、たくさんの色が混ざっているの?」という質問をいただくので「実は野生種だからこその個性が生み出すもので」と私も誇らしげに伝えています。

林部:我々は今回、ひとつの印刷物を納品したとは捉えていなくて、子供たちが喜んだり、保護者の方々が山桜を改めて知る、考える「体験=Xperience」を提供したと捉えているんです。

大塚市長:確かにこれは一種の「体験」ですね。

林部:「体験」は情緒的価値が高まると、より良い体験(Good Xperience)と感じ、ロイヤリティが上がると言われています。今回の絵本は、題材が山桜という情緒的な価値に溢れたものでしたので、ストーリーと相まって、高い効果が期待できると思います。

大塚市長:そうですね。とてもいい出来でしたので、市内の図書館や中学校の図書室、県の図書館にも置いてもらいましたよ。


山桜の価値と保全意識の浸透に向けて

林部:中学校に置いていただけたのは、嬉しいですね。我々は「大人ページ」と呼んでいましたが、巻末には山桜の歴史や、植物としての特長、保全活用計画にも触れましたので、小学校低学年の保護者の方々にも有益な情報が詰まっています。

大塚市長:そうですね。「大人ページ」のご提案は良い提案でした。実際、平成31年に策定した「桜川市ヤマザクラ保全活用計画」では、山桜が自生する里山の保全活動をうたっていて、それには大人たちの教育や理解が不可欠です。今回の絵本は、大人向けの教育ツールになる可能性もあると思っています。

林部:里山の保全と言うと、やらなければならない義務感を感じますが、自主的に「里山を守りたい!」と思うようになるには、確かに絵本ぐらいが大人にとっても丁度いいのかも知れませんね。

大塚市長:地方創生、シビックプライド、色々な言葉が叫ばれて久しいですが、言われてやるようでは長続きしません。絵本という体験で、読んだ人が山桜の価値を認識し、保全意識が芽生える。市としては、そんなきっかけをこれからも作っていきたいと思っています。

林部:今回絵本という「点」をご一緒させていただきましたが、これを戦略的に「線」や「面」に広げていくことが、桜川市さんの課題と考えています。弊社のソリューションはまだまだございますので、今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。


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2022.01.11

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