ライブコマースとは?言葉の意味や、
中国の市場や日本の成功事例を紹介
「ライブコマース」という販売方式が盛り上がりを見せています。中国では市場規模の拡大傾向が見られ、歴史がまだ浅いものの日本でも成功事例が出てくるまでになりました。市場規模の推移や成功事例など、ライブコマースの基礎情報をチェックしていきましょう。
ライブコマースとは?
そもそもライブコマースとは何なのか。種類やできることなど、基本的な情報をまずは確認しましょう。
ライブコマースとはeコマース×ライブ配信による新しい販売方式
売方式
ネットで商品を売買する「eコマース」と、「ライブ配信」をかけ合わせた新しい販売方式を「ライブコマース」といいます。売りたい商品をライブ配信の中で紹介し、視聴者がその場で購入できる仕組みです。リアルタイムなので、配信企業と視聴者がコミュニケーションをとって商品に対する疑問を解消しながら商品購入まで誘引できます。
ライブコマースの種類
ライブコマースにはさまざまな種類があります。代表的な分類をまとめてみました。
■ECモール型
楽天やAmazonなどのECモールが提供しているライブ配信機能を使用する方法です。既存ユーザーが豊富で、サイトの信頼性も高いといったメリットがあります。
■SaaS型
自社で構築・運営しているECサイトやアプリにタグを埋め込み、ライブコマース機能を付け加える方法です。既存のプラットフォームにファンを呼び込んで盛り上げたい企業におすすめです。
■SNS型
SNSのライブ配信機能を使う方法です。多くのSNSがライブ配信機能を無料で提供しているため、比較的安価にライブコマースを導入できます。ただしプラットフォームによっては機能が限定的な場合もあります。視聴画面から商品購入をさせられない可能性などに注意しましょう。
■キュレーション型
すでにライブ配信を行っている企業やインフルエンサーに自社商品の紹介や販売を委託する方法です。キュレーション型の場合、委託する配信者によって販売ノウハウや手数料が異なるので依頼前にしっかり調べる必要があります。
■独自アプリ制作支援型
ライブコマースのアプリやECサイトを自社でイチから作る方法です。ライブ配信をしているアプリやECサイト内で商品販売まで完結させられるので、離脱を防ぎ購買までしっかり誘導できるメリットがあります。ただし開発費用が高額になりやすい点には注意が必要です。
ライブコマースでできること
ライブコマースを利用すると、エンターテインメント的な要素を加えながらの「商品やサービスの紹介」が可能です。出演者と視聴者とのコミュニケーションは「信頼性の構築」にもつながるでしょう。コメントに丁寧な回答が行われれば、ライブ配信をしている企業に対して視聴者は信頼の気持ちを抱きます。
また開発者や生産者が出演し、技術面やスペック面での詳しい解説や質疑応答を行うのもいいでしょう。開発や生産したときの思い入れを熱く語れば、好感度にもつなげられます。おもしろいライブ配信やいい商品の紹介に努めて、「ファンの獲得」を狙うのも重要です。『ここの紹介なら間違いない』と思ってもらえると、リピーターが増えて安定的な成果が得られるようになるでしょう。
ライブコマースのトレンド解説
ライブコマースの需要は年々増加しています。成功事例が日本でも発生しており、今後の成長を予想する声も上がっています。ライブコマースの近況をチェックしていきましょう。
ライブコマース先進国「中国」
中国は、ライブコマースの先進国として知られています。KPMGとアリ研究院の発表によると、中国のライブコマース市場は2019年時点で4,338億元、日本円にして約6兆9,408億円(1元=約16円)でした。その後も市場規模は拡大しており、iiMedia Researchによると2025年までに2兆1,373億元になると予想されています。
中国では従来、著作権に対する意識が低く、偽物が横行する状況が続いていました。そのため中国の消費者にとって、商品を購入する上で「信頼性」が重要な要素になっていたのです。ライブコマースは、有名なインフルエンサーの起用によって、「信頼できるところから買いたい」というニーズにマッチしました。以上のような背景から、中国ではライブコマースがメジャーな販促方法になったと考えられています。
成長が予測される「日本」
日本においても、コロナ禍を機に2020年からライブコマースを導入する企業が増加しています。2020年当時はコロナ禍の真っ只中で、感染の不安から実店舗に人が集まりにくい状況が続きました。そのためオンラインでの売上増加を目的としてライブコマースを始めた企業が増加したのです。
また船井総研ロジの調査によると、日本のライブコマース市場が2024年には10兆円規模を超えるところまで成長すると予測されています。さらにNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(以下、NTTコム)の調査では、ライブコマースの認知率は31.9%(うち視聴経験者は3.9%)であり、視聴経験者のうち54.8%が「実際に商品を購入したことがある」と答えました。20代66.2%・30代59.6%と、年代別でみたとき若い年代ほど購買率が高く、「今後の市場拡大が期待されるポテンシャルのある市場」とNTTコムも紹介しています。
ライブコマースの日本国内事例
■某デパート
2018年にライブコマースを導入した某デパートでは、動画映えする華やかなお歳暮商品を取り上げ、多くの反響を呼びました。商品開発の背景やストーリーなどをライブ配信の中で紹介して視聴者の共感を得た結果、ECサイトの売り上げが過去最高額を記録しました。
■某化粧品メーカー
某化粧品メーカーは、国内に向けてのライブコマースを2020年からスタートさせています。専属のビューティーコンサルタントが化粧品や美容法を紹介しているのが特徴です。日本でスタートさせる以前から中国でライブコマースを行っており、売り上げの増加に成功しています。
■某酒造メーカー
クラフトビールの新規年齢層を獲得するため、女優を起用したライブコマースをECサイト内で実施した某酒造メーカーもあります。従来の平均視聴時間(5〜10分)を上回る平均視聴時間19分16秒の成果を残しました。
ライブコマースのやり方(配信の前後でやること)
ライブコマースについてなんとなく理解ができて、『やってみよう』と思われた人も多いでしょう。事前準備から運用方法まで、ライブコマースの基本的なやり方をまとめてみました。
■配信準備
まず番組の立ち上げ時点で、目的・スケジュール・使用する配信サービスなどを決めましょう。ある程度プランが固まったら集客から販売までの導線を設計します。集客が成功しても購入までの導線が複雑であれば、視聴者が離脱するかもしれません。販売数を増やすため、スムーズに商品が購入できる導線設計を心がけましょう。またライブ配信する番組のコンテンツもあらかじめ考えておく必要があります。企画や台本の準備に加え、視聴者への特典などライブ配信を盛り上げるための工夫が必要です。
くわえてインフラとスタッフの準備も発生します。スマホだけで手軽にライブ配信ができるサービスもありますが、視聴者にストレスなく視聴して買い物を楽しんでもらうためには、ライブ配信をする環境の整備が必要なのです。多くの視聴や申し込みに耐えられる通信環境はもちろん、出演者・カメラマン・照明・タイムキーパーなどスタッフの力量もライブコマースの成功に影響します。
■宣伝
視聴者を集めるために宣伝を行いましょう。既存の顧客に向けてメールを配信したり、Webサイトで情報を掲示したりしてライブ配信の告知をします。自社のサービスに興味を持っている人であれば、ライブ配信を見に来てくれる可能性が高いでしょう。
また新規顧客の集客も合わせて行ってください。媒体広告や各種SNSで宣伝する方法も有効です。インフルエンサーを起用する場合、当人のSNSで告知をしてもらえると高い集客効果が見込めます。
■データ収集および分析
終わった後の効果測定も重要です。視聴者数や商品販売数はもちろん、ライブ配信中の視聴推移までデータが取れるとよいでしょう。取得したデータを基に、改善点を洗い出してPDCAサイクルを回していきます。試行錯誤するうちに新たなヒット商品や人気番組が生まれてくるでしょう。
ライブコマースの代表的なサービス(プラットフォーム/アプ
■SHOPROOM
ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」のライブショッピング機能としてSHOWROOM株式会社がリリースしたサービスです。SHOWROOMの利用者であるアイドルやアーティストが主な配信者で、自らプロデュースした商品やコラボ商品などを紹介しています。
■YouTube
Googleが運営するライブ・動画配信サービスです。無料で利用でき、一般人・有名人を問わず多くの利用者がライブ配信を行っています。初期投資が少なく手軽に配信ができるため多くの企業が参入しているものの、日常的な動画投稿・SNS発信・YouTube SEOなどがライブコマースで成果を出す上では必要です。
■Instagram
Meta(旧Facebook)が運営する写真・動画共有SNSです。“インスタライブ”と呼ばれるライブ配信「Instagram Live」は、スマホがあれば気軽に行えます。最大4アカウント同時のライブ配信「Liveルーム」も利用でき、各アカウントのフォロワーを横断するプロモーションができる点も特長です。
■HandsUP
ライブ配信プラットフォーム「17LIVE」の運営会社である17LIVE株式会社が提供しているサービスです。2019年4月に台湾でリリースされ、同年11月に日本でもサービス提供が開始されました。ツールだけでなく、導入や運用までを一気通貫で支援するコンサルティングサービスも提供しています。
■ライコマ
The Unitが提供している、カート連携型のライブコマースツールです。ライブ配信を視聴しながらストレスフリーで購入につなげられるUI/UXにこだわっています。ECサイトにタグを埋め込むだけでライブ配信ができるほか、導入後のサポートや要望に合わせたキャスティングも相談可能です。
まとめ
ライブコマースの基本情報がわかり、『なんとなくいい』と感じられたのではないでしょうか。手軽に始められるサービスもあると紹介はしましたが、企業として行うならば、準備から効果測定までしっかり行う必要があると思った人も多いでしょう。
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2023.07.25